「かぼちゃの馬車」に学ぶ、民泊・ホテル業界での生き残り戦略

2018.3.21

ここ最近、世間の話題となっている「かぼちゃの馬車」。

民泊・ホテル業界にいる私たちにとっても他人事ではありません。

今、現在は訪日外国人の増加に比例するように民泊、簡易宿泊所、ホテルなどの宿泊施設が各地で増加し続けており、順調な業界と思われます。

先月あたりから弊社にも「どうにかなりませんか?」というかぼちゃの馬車オーナーからのご相談が多くありました。

いまはまだ被害者が出ていないだけで、同じような被害に至る可能性もあり得ることです。

本記事ではホテル業界に潜むリスクについて執筆しました。

かぼちゃの馬車について

SMART DAYS

出典:http://www.smt-days.co.jp/

「かぼちゃの馬車」とはスマートデイズは2012年8月に設立された不動産会社です。

首都圏を中心に女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」の企画、運営で大きく事業を成長させてきました。

不動産投資家を見つけ、建築から管理運営(サブリースで利回り保証)を請け負っています。

この事業で売上を2013年7月期の売上高4億4,502万円から、2017年3月期(2016年に決算期変更)316億9,664万円へと急拡大させてきました。

かぼちゃの馬車事件

急成長した不動産企業として一斉を風靡し、セミナーなどでコツコツ不動産投資家を集めることに成功し、これまで拡大を続けてきました。

ところが2017年10月、同社から物件オーナーにサブリース賃料減額をするという内容の通知がありました。

2018年1月に開催された説明会で、1月以降の賃料支払いが難しいことが明らかになりました。

具体的な金額は物件によって異なりますが、1部屋60,000円のサブリース保証額が半額以下になったという話も聞いています。

数億円で購入し、毎月の銀行返済ローンが100万円前後あるサラリーマン大家さんから破産する方も出るほどの事件となっています。

かぼちゃの馬車が失敗した要因

かぼちゃの馬車が失敗した背景には、いくつかの要因が見られます。

一つ一つ見て行くことにしましょう。

無理な利回り・金額保証設定

私たちにご相談いただいたオーナー様のお話を伺っていると「それはかなり厳しいのでは・・・」と思わざるを得ない数字でした。

シェアハウス相場の1.5倍弱の金額で金額設定をしているのです。

これには「利回り」と「売却益」が大きく関与しています。

かぼちゃの馬車の利回り8%保証と高い数字に設定されています。都内で利回り8%保証という不動産商品はなかなかありません。その為、人気不動産投資商品でもありました。

また、利回りを高くすることで不動産を高く売却し、その売却益で月々の赤字を補填していたようです。

入居者プラットフォーム事業

「住む」ところから始まるプラットフォーム
出典:http://www.smt-days.co.jp/

オーナーへ支払うサブリース賃料は相場より高い一方、入居者から同社に支払われる賃料は相場程度です。

この差額はどのようにして支払われるのか?

その差額を入居者プラットフォーム事業で補填しているそうです。

入居者に対して仕事を斡旋したり、広告商品を部屋に設置したりなどして別の部分から利益を捻出するという算段があったそうです。

これについて、相談を受けたオーナー様からは「そもそもその事業が稼働しているかもわからない」というお話でした。

カニバライゼーション(共食い)

先日のとあるTV番組でレオパレスのサブリース一括借り上げ問題が放映されていました。地方の同一エリアの中に数棟単身赴任者用のレオパレスアパートが建っているのは異様な光景だと思いました。

そもそもこの地方にそれだけの単身赴任赴任者の市場があるのでしょうか?また、単身赴任者の数がアパートの供給数を上回っていれば問題ありませんが、そうでない場合は市場の共食いになるだけです。

それが今回のかぼちゃの馬車でも同じ事象になっているのではないでしょうか。

そもそも”東京で女性専用シェアハウスに入居したい女性”の数はどれだけあったのでしょうか。

その結果を物語っているのが入居率40%程度という数字です。

入居者を同社が企画・建築したかぼちゃの馬車が取り合ってしまっているのではないかと筆者は考えます。

ホテル業界に置き換えて考察する

さて、かぼちゃの馬車の話はこれまでとします。

ここからは表題にありますように、ホテル業界に置き換えて考えてみましょう。

「え?順調じゃないの?」と思う方もいらっしゃると思います。

“短期的な視点”で見れば特に問題ありませんが、”中長期的な視点”で見れば既に片足を突っ込んでいる方もいるのでは?と思うことも稀にあります。

早速、見ていきましょう。

簡易宿泊所、民泊の増加

簡易宿泊所、民泊の増加

簡易宿泊所、民泊はここ数年で急増しています。

共食い、というわけではありませんが、似たようなターゲットの取り合いになっています。

「儲かりますよ!」という甘い言葉

売って、建てて終わりの不動産会社。

運営契約を取れたら終わりと思っている運営代行・委託会社。

これだけは誤解していただきたくないのですが、もちろん全ての業者がそういった業者ではありません。

しかし、この業界はそのような業者も少なくないというのが事実。

実際にあったそれぞれの話を書いていきます。

建てて終わりの不動産会社

京都などの観光地で一気に増えたと感じるのが「簡易宿泊所」です。

そして多くの間取りが1Kなのです。

これはなぜかと言うと宿泊施設としての事業が上手くいかなくなった際に、マンションとして転用することでリスクヘッジができるからだそうです。

一見、「そのリスクヘッジは賢明」と見えるかもしれませんが、リスクを避ける考えそのものがリスクを取る結果となってしまっています。

こういったことを理解しているかしてないかは把握できませんが、簡易宿泊所を売りさばいている不動産会社もいます。

「いま、京都は観光が伸びてますから大丈夫です」→他のホテルもめちゃくちゃ増えてる

「将来、マンションに転用できるつくりにしておけば大丈夫です」→リスクヘッジがリスクを招く

「法人にサブリースをしているから大丈夫です」→サブリース先がうまく回らなかったら解約リスク

こういった言葉の裏にはリスクも隣り合わせであることは常に頭の片隅に入れておきましょう。

現実の市場や将来予測、リスクなどもきっちりと説明した上でオーナー様も不動産会社もサブリース先も儲かる仕組みをしないと、簡易宿泊所事業も市場自体が上手く回らくなってしまいそうです。

運営契約を取れたら終わりのホテル運営代行・委託会社

本質的なお話をします。

ホテル運営代行・委託会社は”運営契約を取れたら終わり”というのは明らかに間違いです。

“契約をしていただいてからがお付き合いの始まり”なのがホテル運営代行・委託会社です。

しかし、経験の浅いホテル運営代行・委託会社もいますし、「一回契約をしてしまえばこっちのもんだ!」と思っている運営代行・委託会社も中にはいます。

そういった運営代行・委託会社から出された収支シュミレーションは、高い宿泊単価、年間稼働率は80%で記載されています。

「立地が良いので、80%は堅いですよ!ぜひ、うちでやりましょう!」

「インテリアを格好よくすれば、これくらいの高単価ですよ!ぜひ、うちでやりましょう!」

これって本当でしょうか?

いくら立地が良いと言えど、競合となるビジネスホテルやシティホテルに勝てますでしょうか?

いや、もっと深い話で言うと、駅近=好立地なのでしょうか?

また、ハード部分(内装や外観)はあくまで高単価・高稼働率となる要因のひとつであって、全てではありません。例えばいくら良い家具を揃えても「それって清掃の導線として、最悪・・・」という内装もよく見受けられます。

運営代行・委託会社のご相談も最近多くいただけるようになりましたが、オーナー様が口を揃えて言われるのが「運営会社にこの配置が良いと言われたから・・・」です。

確かに、導線まで考えるのは難しいことです。運営会社選定ポイントのひとつに”運営のプロはいるのか”も考えるべきポイントのひとつですね。

まとめ

甘い言葉や、流行りだからといって先々の市場を考えずに購入・建築を薦めるところなどは共通するものがあります。

宿泊事業はやり方次第で簡単につまづき失敗します。

逆に、しっかりとしたパートナーと組み、正しい知識を身に付けることで成功する確率がぐんと上がります。

できれば、建築プランを作成する前に”中長期的に戦略を考えることができる運営会社”に相談したいものです。

しっかりと出口戦略まで考えた上で、運営目線で導線であったり物件自体のコンセプトや間取りを考案して”生き残るホテル”を増やしていきたいと考えています。

これから宿泊施設の建築・購入をご検討されている方も、すでに建築始まってしまっている方もお気軽にお問い合わせフォームからご相談ください。

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