【旅館業法 規制緩和】帳場(フロント)撤廃・緩和「5つの落とし穴」

2018年1月25日の日経新聞でも旅館業法の規制緩和・撤廃という記事が掲載されていました。

ホテルや旅館、規制撤廃について(日経新聞)

とても素晴らしい試みですが、旅館業法に詳しくないと気を付けるポイントが多く隠れています。

そして新規旅館業参入者に誤解を招いています。

今日は規制緩和されている中でも特に重要な「帳場(フロント)の設置基準」について間違えやすい5つのポイントをお話します。

1. 帳場とは?

帳場とは?

一般にホテルのフロント部分です。日本語で帳場と言い換えているだなので難しく捉える必要はありません。主にゲストの個人情報を記入いただく場ですが、それ以外にも玄関帳場を設けることによって、犯罪への抑止・健全な施設管理・不特定多数の人が出入りする施設の監視役という役割も担います。

2. 設置義務について

設置義務について

旅館業法には、「ホテル・旅館・簡易宿所・下宿所」と4つの分類があるのですが、簡易宿所についてはもともと玄関帳場(フロント)設置義務がありません。最近、ニュースで取り上げられますが、もともとないのです。つまり、物理的にフロントをつくる必要はありません。

3. 規制緩和で間違えやすいポイント

前述したように、簡易宿所については物理的に玄関帳場(フロント)を設置する必要はないのですが、これを世間一般的な解釈で鵜呑みにして、誤った解釈をしているひとがものすごく多いです。間違いやすい点は以下の通り。必ず覚えておきましょう!

間違えやすいポイント.1

スタッフは常駐不要?

スタッフは常駐不要?

この点について、法的な明記がありません。ですが、「フロント不要=スタッフ不要」ではないので、誤解してはいけません。各都道府県(各市町村)、自治体によって近隣建物にスタッフの常駐が必要と指定されていることがほとんどです。加えて「近隣」という表現にも注意が必要で、その距離については明確になっていない為、申請する市区町村の担当によって解釈が分かれます。

間違えやすいポイント.2

宿泊者名簿は不要?

【旅館業法 規制緩和】帳場(フロント)撤廃・緩和「5つの落とし穴」

あなたもホテルや旅館などの宿泊施設を利用した時は、フロントで宿泊者名簿への記入を求められたことがあると思います。簡易宿所であっても名簿への記入は必須事項です。
「玄関帳場(フロント)不要=宿泊者名簿不要」ではありません。

<引用:旅館業法>
第六条 営業者は、宿泊者名簿を備え、これに宿泊者の氏名、住所、職業その他の事項を記載し、当該職員の要求があつたときは、これを提出しなければならない。

《改正》平18法053
2 宿泊者は、営業者から請求があつたときは、前項に規定する事項を告げなければならない。

間違えやすいポイント.3

パスポートのコピーは不要?

パスポートのコピーは不要?

海外旅行経験者であればわかりますが、外国籍のゲストを宿泊させる場合はパスポートのコピーが必ず必要です。繰り返しますが、必ずです。なぜ?と聞かれることも多いですが、国内におけるテロ等の不法行為を未然に防止するためにも不特定多数の者が利用する旅館等においては、安全確保のための体制整備は非常に重要なものとなっているのです。

参考:旅館等における宿泊者名簿への記載等の徹底について

間違えやすいポイント.4

対面での鍵の受渡しは不要?

対面での鍵の受渡しは不要?

「玄関帳場不要=対面での鍵の受渡し不要」ではありません。また、混同する方も多いですが、電子機器や顔認証サービスによる遠隔での本人確認が出来れば良いということもありません。(これは一部の民泊特区のみです)鍵の受渡しについて規制緩和されたわけではないので勘違いしないようにしましょう。

▼2p 第 2-4-(3) 職員が現地へ付き添う規定がその文章
旅館業法施行規則の一部を改正する省令の施行について(健発0401第1号)

間違えやすいポイント.5

施設の管理責任は不要?

施設の管理責任は不要?

「玄関帳場不要=施設管理やトラブル管理不要」ではありません。この点には注意が必要で、どの程度の距離感なのか?について地方自治体ごとに解釈が曖昧です。わたしが経験した中でも、自治体(担当員)によって

  • 車で10分以内
  • 見渡せる距離
  • なんでもいいから20分以内
  • 敷地内

などなど・・・自治体ごとに法の解釈がまったく異なります。

▼2p 第 2-5-(2) 速やかに駆けつけられる範囲
※「速やかに駆けつけられる」の解釈(保健所毎に曖昧)
旅館業法施行規則の一部を改正する省令の施行について(健発0401第1号)

まとめ

「玄関帳場(フロント)の撤廃」について、世間で大きく取り上げられていますが「宿泊事業」に参入しやすくなったわけではありません。安易に解釈してしまうと、法律違反になりますので誤解しては絶対にダメ!

現地の管理・責任について緩和されたわけではなく遠隔地簡易的に出来るわけではありません。宿泊事業は「お金儲け」だけでなく「ゲストの安全」もしっかりと確保する必要があります。民間リゾート運営に興味をお持ちのあなたにはその責任がありますよ?
報道に流されないように、気を付けましょうね(*^▽^*)